【人気化条件そろうITベンチャー ブレインパッド KLab】

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人気化条件そろうITベンチャー ブレインパッド KLab

秋のIPOマーケットに起爆剤 実績十分

ブレインパッド草野社長はフリービット、KLab真田社長はサイバードの
創業メンバー

ブレインパッド(3655・東マ)に続き、KLab(3656・東マ)のマザーズ上場が承認された。上場日はブレインパッドが9月22日、KLabは9月27日。両社ともに業態、経営者の経歴、成長角度など多方面に"ITベンチャーらしさ"が表れており、「秋のIPOマーケット起爆剤第1弾」になりそうだ。

【両社とも初物IPO】

ブレインパッドは顧客企業が抱える大量のデータを解析し、売り上げ拡大や業務効率化につながるコンサルティングなどを提供するデータマイニング事業、KLabは「モバゲー」などSNS(交流サイト)向けソーシャルゲーム供給事業が主力。それぞれ「業態第1号IPO」と位置付けられる(ドリコム、クルーズ、ケイブなどはソーシャルゲーム供給者と認知されているが、上場時点では他事業を主力としていた。上場時点でソーシャルゲーム供給をメーンとする企業はKLabが初めて)。

【市場の酸いも甘いも知っている?】

両トップの経歴も近しいものがある。具体的には、ブレインパッドの草野隆史社長は、フリービット(3843・東マ)の創業メンバーで、フリービットの黒字化を見届けてから新たに起業した経歴を持つ。

一方、KLabの真田哲弥社長はサイバード(元JASDAQ)の創業メンバーで、サイバードの開発子会社としてKLab(当時ケイ・ラボラトリー)も設立。以降、サイバード→USEN→SBIグループと、大株主が変遷した間もトップとして会社を率いてきた。両トップはともにITバブルバブル崩壊をはじめ一連の波を体感し"天井と底"を知るほか、ITベンチャーの経営経験も積んでおり、この点で安心感を覚える投資家もいるようだ。

【業績はともに今期成長加速】

業績も両社とも伸び盛り。ブレインパッドはまだまだ規模が小さく、業績不安定感はあるものの今6月期経常利益は前期比80%増の3億3200万円、KLabに至っては今8月期経常利益9億2200万円と驚異の前期比7倍の予想。ともに成長率加速を見込む。

KLabの今期の業績急成長はソーシャルゲーム事業の伸長に尽きる。同事業のカギを握る「デイリー・アクティブ・ユーザー数」は不明だが、提供する10タイトル中、月額課金が「億円」ラインのタイトルも数本あるとされる。このほか、SI事業、クラウド&ライセンス事業も増収増益のもようだ。

【BB参加態度・セカンダリー需給を先読み】

■ブレインパッド 「モルフォ型」か

両社とも人気化の要素十分だが、ブックビルディング(BB)参加態度、セカンダリー需給動向はどうか。

ブレインパッドは、公募・売り出し株数が27万株(オーバーアロットメントに伴う売り出しを含め31万500株)と限定的。想定発行価格(2010円)から算出した市場からの資金吸収額は5億4000万円、オーバーアロットメントを含めても6億2400万円で、軽量感が意識されそう。PERも10倍にすぎず、参考企業のアウンコンサルティング(2459・東マ)などに比べた割安感も強い。

ロックアップ期間は上場日から90日目の11年12月20日まで。ベンチャーキャピタル(VC)を含めて上場前株数の92%にロックが掛かっていることは安心材料。ロック解除条件は公開価格比1・5倍以上と緩いが、ロック対象のVC保有株は上場に伴う売り出し後で7万5000株にすぎず、比較的短期間で吸収可能な水準だ。

株価展開を読む上では、7月上場のモルフォ(3653・東マ)が参考になりそう。モルフォは画像処理技術ベンチャーで業態は異なるものの、ITベンチャーのカテゴリーに入る。

モルフォは想定発行価格2050円(公開価格は2250円)、公募・売出し株数はオーバーアロットメント込みで38万5400株)とブレインパッドに近似しており、ロックアップ期間・解除条件は同一。モルフォは公開価格比2・1倍で初値を形成し、セカンダリーで同3・5倍に買われた。ブレインパッドはモルフォに比べVC保有株が少ないことも勘案すると、ロックアップ解除条件もなんのその、需給主導でモルフォと同程度、もしくは、それ以上の株価展開になる可能性もありそうだ。

■KLab 「DMP型」か

KLabは想定発行価格1540円。新株発行(公募株数22万9700株)に伴う調達資金は3億5000万円にとどまる一方、売り出し株数は公募株数の2・4倍に当たる57万2500株と、売り出し過多。資本変遷を見れば瞭然(りょうぜん)だが、VC都合の"出口戦略"の色彩が濃く、IPOマーケットから歓迎されにくいタイプではある。

PERは13倍とドリコム、クルーズなど同業に比べ割安感はある。市場からの資金吸収額は12億3000万円、オーバーアロットメント込みでも14億2000万円で、軽量感はないが、かといって過大感が強く意識される水準でもない。

また、上場前株数の推計85%にロックアップが掛かる(ロックアップ期間は上場から180日目の12年3月24日まで。公開価格の2倍以上でロック解除)。VCすべてがロック対象で、上場直後の需給に配慮した設計になっている。ただし、上場に伴う売り出し分を除いても、VCおよびSBIホールディングスの保有株は推計260万株超に及ぶ。これは公募・売り出し株数の3・2倍に相当する。

株価展開を占うに当たっては、KLabと公募・売り出し株数、市場からの資金吸収額が比較的近く、VC保有株も多かった、6月上場のDMP(3652・東マ)が参考になりそう。

DMPは技術評価が高く、業態人気はあったものの、ロックアップ対象となっているVCの売却警戒感からロックアップ解除条件(公開価格比1・5倍以上で解除)が非常に意識され、公開価格比27%高で初値を形成、その後のピーク価格もロックアップ解除価格の手前。KLabもロックアップ解除価格をにらんだ展開が読まれるが、同社の解除条件は「公開価格比2倍以上」であり、相応の値幅は取れるだろう。

なお、ソーシャルゲームは「旬」のセクターだが、ディー・エヌ・エー、グリーなど"場口銭"を稼げるプラットフォーム提供者に比べ、ソーシャルゲーム供給者はコンテンツを開発し続けることが求められ、いわば自転車操業型モデル(ストック型ビジネスではない)。また、ソーシャルゲーム供給者にとってスマートフォン普及は商機にはなるものの、フィーチャーフォン以上にユーザー獲得競争が激化するとみられ、かじ取りの難しい局面を迎える。KLabについては、少なくとも来8月期の増収増益路線はほぼ確実視されているが、市場関係者から「今のところ中期的成長分野が不鮮明」など冷静な声も聞かれ、今後の成長戦略に注目したい。(8/26AM8:30日本証券新聞リンク先はコチラ



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