ポッカコーポレーションはIPOならばいくらだったか

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 時価総額約332億円。これがサッポロホールディングスによるポッカコーポレーションの株式取得価額から割り出したポッカの価値になる。果たして、IPOに至っていたらどれくらいになっていただろうか。買収を機にポッカの前期までの業績も公表されたため試算してみた。

 ポッカの10年3月期の連結業績は売上高971億円に対し経常利益は21億円、純利益は13億円とされる。純資産は123億円だ。上場廃止前の売上高は982億円であり、途中もほとんど変わっていない。国内飲料市場は成熟しきっており、ポッカの成長性はほとんどないといえる。一方、上場飲料株の株価収益率(PER)中央値は18倍前後。今期の予想は示されていないが、猛暑効果で他社同様に1割程度は増益になったとして18倍を当てはめると、時価総額はざっくり260億円程度といったところだろうか。

 ただ、同社株はMBO(経営陣が参加する企業買収)前こそ東証1部だったが、時価総額300億円では2部かジャスダックが対象だろう。1部銘柄でもなく成長性にも欠けるとなれば、機関投資家どころか個人需要も低くなるケースだ。まして、上場時の売り出しだけで現在株主であるアドバンテッジ・パートナーズのファンドが全ての株式を売り抜けることはまず不可能。残りの持ち株を市場は売り圧力として警戒するため、さらに買い需要は低くなる。IPOにあたっては相当に安くプライシングされてしまう条件がそろっている。

 一方、PBR(株価純資産倍率)の類似企業の中央値は0.8倍程度。食料品セクターは収益性が低い企業が多いため、BPS(1株当たり純資産)を下回る企業も多いのが実情だ。260億円ではPBR2倍となるが、評価の高いヤクルトでも1.8倍にとどまる。
 
 また、中堅の成熟企業といった基準で見れば、上場時のPERは1桁台となることも珍しくない。実際の価値は100億円台にとどまる可能性がある。

 もちろん、この試算は今期の業績経過は全く分からないままでの試算だ。前期の経常利益率は2.21%だが、MBO後の改革実施で08.3期には4.51%に達していた。仮にこの水準まで戻していれば利益は倍増するため、時価総額も300億円超に跳ね上がる計算になる。上場時期を結果的に逃していたことになるが、今回サッポロHDとの交渉がまとまったことで、アドバンテッジは時計の針を戻すことにも成功したといえる。(2/10:トレーダーズウェブ)

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