ポッカの買収はIPOよりメリットあり

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 来月は年度末とあって、今週に入ってから次々とIPOが承認されているが、これまでずっと再上場がささやかれてきた大手飲料はどうやら承認には至らなそうだ。先週金曜日夜、ポッカコーポレーションサッポロホールディングスが買収すると日本経済新聞が電子版で伝えた。同日には共同通信が、ポッカの上場が間近との観測を伝えたばかりだっただけに、インパクトは大きかった。

 記事によれば、サッポロHDはこれまでも同社に2割を出資しているが、300億円前後を投じて株式を買い取り子会社化するという。ポッカは過去にMBOで上場を廃止した経緯から、アドバンテッジパートナーズが大半の株式を保有しており、IPOはその出口戦略としての手段だった。

 ファンドにとってはIPOが通常、最も高くイグジットできる手段とされる。しかし、昨今の株式市場は成熟企業に厳しい評価を下すことが多く、最適な手段とは言い難い。東証1部に直接上場ともなれば、話は違ってくるが、報道に伝えられる買収金額からでは市場は2部かジャスダックといったところだ。加えて、足元ではコーヒー豆が高騰しており、コーヒー飲料に強い同社には向かい風が吹く。建前上は上場の目的を海外進出と報道されていたが、海外進出はすぐに結果がでるものでもなく、これこそ非上場のうちにやるべき戦略である。

 しかし、これら上場にあたって予想される問題は、合併・買収(M&A)なら一気に解決される。サッポロHDとポッカのシェアを合わせても飲料のシェアは「8位」と、正直ピンとこないが、飲料部門の収支がようやく黒字化が定着してきたサッポロHDにとって、攻勢を掛けるためにもぜひとも欲しい案件のはず。大手ビールメーカーは、国内のビール系飲料の市場縮小に対応するため、総合飲料メーカーへの脱皮を皆図っている。一方、ポッカにとっても単独で海外進出を図るより、出遅れたとはいえ幾分でも先行する大手と組んだ方が確実性が高い。

 もちろん、M&Aはアドバンテッジにとってもメリットは高い。IPOでは例え高値が付いたとしても、全て売り切るのに時間をかけなければならず、一度に売り抜けられる買収は魅力的だ。買収が株式交換であっても、ポッカ株を売り抜くよりはより時価総額の高いサッポロHD株としての方が簡単だ。もしかしたら共同の上場観測の報道は、「買収するなら今のうち」とサッポロに決断を迫るために、アドバンテッジ側がリークした可能性がある。

 それにしても、サッポロ側にとっては米投資ファンドスティールパートナーズが手を引いた矢先。市場ではスティール撤退後の同社に対し、悲観的な見方も多かった。これを機に「札幌不動産」とも揶揄される不動産依存の収益体質を返上できるかも注目点だろう。(2/10:トレーダーズウェブ)

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