大塚HDの需給ポイント 指数算入スケジュール先読み

株ブログ IPO・新規公開株

先に、12月15日の東証上場が承認が発表された大塚HD(4578)。上場後の需給動向を占う1つのポイントとして、主要な指数組み入れの可否なども注目されてくる。指数連動で運用されるパッシブ資金の機械的な買い付けが期待されるためだ。

ここでは、同じく大型新規上場として市場の注目を集めた、4月1日東証1部新規上場の第一生命保険(8750)のケースが参考になりそう。

内外の各主要指数では、年に1、2回程度の定期入れ替えを行うところが多いが、時価総額の非常に大きい銘柄の場合、これとは別に、上場後、比較的早期に組み入れる特例措置を設けているところもある。

外国人投資家の日本株投資の際、ベンチマークとして用いられるFTSEやMSCIなどだ。

第一生命の場合で見ると、4月2日(通常のザラバ取引開始日)終値を基準に"ファストエントリー"として、「FTSE」指数に採用。4月14日(上場10営業日目)終値を基準に、"アーリーインクルージョン"として、「MSCI」指数に採用されている。

その後、市場で最大の注目を集めたのは、5月28日終値を基準とした「TOPIX」採用。

実際には、「FTSE」の日こそ小幅高となったものの、「MSCI」では小幅安。「TOPIX」の際には、同じ新規採用組のアインファーマシーズ大幸薬品が急伸する中、朝高後、引けにかけて急速に値を消す皮肉な結果となった。

市場の期待が集まり過ぎると逆の目に出がち、という典型的なパターンとなったわけだが、ともあれ、5月最終週まで15万円近辺の高値圏をキープしていた第一生命が、TOPIXイベント通過を機に、崩れ足の様相を呈しており、逆説的に言えば、指数算入期待が株価を支えていたことの証明ということになりそう。

ちなみに、第一生命は、8月31日終値で「ラッセル野村プライム」に算入(この日も下落)。日経平均に関しては、来年3月末に予定される臨時入れ替え(中央三井トラストと住友信託の統合などに伴う措置)での新規採用が有力視されている。

FTSEは上場当日終値 早期採用微妙なMSCI

さて、大塚HDの場合はどうなるか...。

まず、TOPIXに反映されるのは通常通り、1月28日終値。上場後1カ月半程度、需給を支える要因となる。

ポイントとなるのはFTSEとMSCIだ。

大塚HDは、想定発行価格(2400円)から試算した時価総額1兆3000億円規模の超大型案件。とはいえ、株式会社転換によって浮動株が大半を占めた第一生命とは異なり、想定価格ベースの市場調達額は、オーバーアロットメントによる売り出しを含めても2268億円にとどまる。

外国人の取得可能な浮動株ベースの時価総額を基準とする両指数への組み入れは、第一生命同様というわけにはいかないようだ。

本紙連載陣の1人で、インデックス買い関連の投資法に詳しい「夕凪所長」(次回は12月9日付掲載予定)は、自身のサイト上で、「FTSEで特例となる『ファストエントリーレベル』をクリアしている。FTSEへの算入は取引日初日の終値がベースとなるため、上場日当日(12月15日)がFTSE買い日となる」などと指摘。一方で、MSCI早期算入があるとすれば、12月29日だが、「MSCIの『アーリーインクルージョン』のハードルの高さを考えると採用は厳しい」との見方も示している。

大和証券の橋本純一シニアクオンツアナリストは、「早期採用の是非は微妙だとは思うが、まだ仮条件も決まっていない段階では何とも言えない」としている(仮条件決定は25日、公開価格決定は12月6日の予定)。他社の有力クオンツアナリストからは、「MSCIと契約を結んでいない当社では、レポートは出せないことになっており、この件でのコメントも控えたい」といった声も。

MSCIからの正式発表は、上場日引け後か翌日に行われるもようで、注目しておきたい。(日本証券新聞
ライブスター証券業界最安値水準の手数料体系(現物10万円未満は84円)