りそなHDが最大9000億円の公的資金返済計画発表、完済に向け弾み

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りそなホールディングス(8308.T: 株価, ニュース, レポート)は5日、最大9000億円の公的資金返済の計画を発表した。公募による最大6000億円の新株発行と、剰余金3000億円を返済の原資とする。

 りそなに注入されている公的資金の残高は1兆6000億円超だが、今回の最大9000億円と8月に行った4000億円を合わせ、返済総額は1兆3000億円となり、完済に向けた取り組みに弾みをつけたい考えだ。

 会見した細谷英二会長は、優先株が中心だった資本構成を普通株を中心にシフトさせ、普通株主への価値還元に反映させることが可能になると強調した。

 預金保険法に基づく優先株式1兆2635億円については新株発行と剰余金の計9000億円を充てる。その後は利益の蓄積を通じた返済を進め「5年程度での完済が展望できる」と説明した。新株発行の時期は市場環境などを考慮しながら今後詰める。

 一方、預金保険法による政府保有普通株式2616億円は、当面、売り出しの申し出をしない予定だとしている。早期健全化法による優先株1600億円は、一斉取得の場合の普通株式は自己株として保有しているため、発行済み株式総数はほとんど増加しないとしている。

 この計画を2011年3月期に実施した場合、バーゼル銀行監督委員会による新銀行規制で2015年1月に求められる自己資本比率に対し、今年度末の時点で1%程度の余裕を持たせられるという。普通株式と剰余金による「狭義の中核的自己資本(コアTier1)」の比率で5.5%程度、これに優先株などを加えた「中核的自己資本(Tier1)」比率で7%程度を確保する見込みだとした。損失を吸収するために追加的に必要な「資本保全バッファー」は利益の積み上げで確保するとした。

 バーゼル委の規制は国際的に業務展開する銀行を対象とするため、国内基準行のりそなHDには直接的な影響はない。ただ、細谷会長は「海外の投資家もいる。国際的な目線は必要だ」と説明している。

 <りそなは株主メリットを強調、市場からは懐疑的な声も>

 公的資金優先株式への配当金が削減できることから「優先株式の買入消却が終わったら、普通株式を2割の増配にしたい」と述べ、株主にもメリットがあることを強調した。現在の年間配当予想1株当たり10円を12円にし、以後、安定配当に努めるという。

 細谷会長は、6000億円の新株発行は政府保有優先株との資本構成の入れ替えになるだけであり、1株利益の希薄化にはつながらないと説明。公的資金返済に向けた新株発行は今回の1度だけだとした。

 ただ、機関投資家などの市場関係者の間では「利益の積み上げによる公的資金返済原資の確保に比べれば、新株発行は新たな希薄化要因になる」(銀行担当アナリスト)との見方も根強い。(ロイター)

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