第一生命(8750)売出価格14万円はリーズナブル、仮条件上限→売出価格、ディスカウント率 実はドコモと同水準

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4月1日に東証1部にIPO(新規上場)する第一生命保険(8750)の売出価格が23日、1株14万円に決定した。ブックビルディング仮条件の上限価格15万5000円(下限は12万5000円)および事前の想定売出価格15万円からディスカウントされた形での売出価格決定となった。今回決定された売出価格について、マーケット関係者はポジティブな見方が主流だ。

まず、ブックビルディング仮条件の上限価格15万5000円に対して売出価格が14万円と約9・7%安く決まった背景について、ある大手証券関係者は「海外機関投資家のブックビルディングが意外と慎重な価格での申し込みが多かったようで、これが売出価格決定に反映されたようだ」と分析している。

実際に、「国内の営業現場では個人投資家から人気が高かったが、海外では機関投資家などから慎重な見方が出たのだろう」(T&Cフィナンシャルリサーチ日本株情報部マネージャーの田中一実氏)との声が出ている。売出株式数の内訳は、当初予定は国内461万株、海外250万株の予定だったが、国内501万株、海外210万株に決定されている。さらにオーバーアロットメントで10万株の売り出しを行う。なお、売り出しに対する応募倍率(応札倍率)は「国内が3倍強、海外が4倍弱」(市場関係者)となったとのこと。

売出価格については、「バリュエーション面から見て、ブックビルディング仮条件で割安感はあまりなく、上限価格割れは想定の範囲内だった。今後の展開を考えるとむしろ望ましい」(T&Cフィナンシャルリサーチの田中氏)、「(上限価格割れは)サプライズかどうかは分からないが、そういう事前予想も出ていた。値段を無視してまで先走ることなく、マーケットは落ち着いて第一生命を迎え入れようとしているのだろう」(いちよし証券投資情報部課長の宇田川克己氏)との見方が出ていた。

特に今回は大手生命保険のIPO第1号案件とあって、「初値が売出価格を下回ったら次に影響が出る可能性もあるので、(今回の売出価格は)安全策ともいえる。売出価格を低くするメリットは多い。安定株主やブックで当選した投資家は低いコストで調達できる上に、公募増資をしていないため、第一生命には影響ない」(カブドットコム証券営業推進室マーケットアナリストの藤本誠之氏)という。

気になる初値だが、「(低い売出価格は)みんながハッピーになる。これで初値は仮条件上限価格が意識されよう」(いちよし証券の宇田川氏)、「初値は仮条件上限価格の15万5000円で付け、5月にかけて20万円まで上がるのがベストシナリオ。需給が読めないが、売りの出方次第では初値から盛り上がる可能性も否定できない」(カブドットコム証券の藤本氏)という。

さて、関心は初値買いの是非に移る。上場後のイベントは、インデックス(株価指数)による買い需要が意識されている。上場直後のFTSE、4月13日のMSCIを経て、5月末のTOPIX組み入れによる買いが予想されている。「4月は堅調な地合いが想定され、その中で手あかが付いていないIPO銘柄は選好されよう。5月までは堅調な株価形成が想定される」(カブドットコム証券の藤本氏)。

なお、第一生命は1998年10月のNTTドコモ(9437)以来の大型IPOとされるが、そのNTTドコモの当時のブックビルディング応募倍率は国内外ともに約2倍で、売出価格はブックビル仮条件の330万―430万円に対して、390万円と上限価格から約9・3%のディスカウントで決定、今回の第一生命の約9・7%とほぼ合致。ちなみに、NTTドコモの初値は売出価格比17・9%高の460万円(終値は465万円)で、この売出価格から初値までの上昇率を第一生命に当てはめると、初値は約16万5000円となる。(日本証券新聞

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