3月新規上場銘柄はバラエティームード好転から予想外の人気化も

2010年IPO(新規上場)マーケットは3月3日に開幕する。スロースタートながらここまでで、3月のIPO案件は6社と前年同月水準を確保した。

昨年1年間の新規上場案件は19社(2008年比61%減)と、現在の新興3市場体制が実質的に整備された2000年以降の最小記録を更新。今年はまだ先は長いとはいえ、前年の"IPO氷河期"からの"雪解け"ムードもやや感じられる状況となってきた。

また、3月IPO銘柄の顔触れもバラエティーに富む上、好発進期待の持てる銘柄も散見され、第一生命上場に向けた"露払い"的役目も十分に果たしそうだ。

業態妙味...アニコム、セルシード

3月のIPO銘柄だが、業態面で注目を集めているのが、ペット保険のアニコムホールディングス(8715・東マ)と、再生医療関連のセルシード(7776・NEO)。

アニコムは想定価格(1800円)から算出した市場からの資金吸収額が15億円超と過大感はなく、上場前株数の推定65%以上にロックアップが掛かり、順調発進が予想されている。

セルシードは角膜再生シートをはじめとした再生医療製品の研究開発を手掛けるだけでなく、再生医療産業を支える画期的な製品や技術を保有し、活躍余地の大きさが指摘される。先行投資時期のため来期まで赤字予想だが、再来期には黒字転換する見込み。

想定価格(1440円)から算出した時価総額は77億円程度で、比較対象企業(J・TECなど)などからみても評価余地がありそう。また、VC(ベンチャーキャピタル)のほとんどすべてがロックアップ対象となっていることも、需給安心感を誘う。

需給妙味...エスクリ

需給面から注目されるのは、挙式・披露宴の企画・運営を行うエスクリ(2196・東マ)。想定価格(610円)ベースの市場からの資金吸収額が5億円未満、PER1ケタ、業績変化率も抜群で、「軽量感」「割安感」「高変化率」と三拍子そろい、好発進が期待できそうだ。

求心力...Paltac

市場求心力の観点では、メディパルHD(7459)傘下で化粧品・日用品卸を担うPaltac(8283)も外せない。所属部未定ながら想定価格(2300円)ベースの時価総額は856億円で、東証1部上場となる公算大。市場からの資金吸収額は368億円。

同社は2005年10月に医薬品卸大手のメディセオHDと統合したが、昨年5月の決算説明会でPaltac再上場の意向を表明していた。「経営統合後に事業再編を行い、医薬品はメディセオ、化粧品・日用品はPaltacに集約。おのおの顧客層が医療機関、ドラッグストアと異なる上、改正薬事法施行などによりドラッグストアなど小売りの事業環境が大きく変化した。親子上場問題が議論される状況ながら、ともに成長して勝ち残るには事業特性に応じた迅速な経営判断、資金調達の多様性を確保できるこの手法がベストと判断した」(メディパルIR担当)としている。

なお、メディパルはPaltac上場に際して900万株を売り出す。同社は売り出し後でPaltac発行済み株数の57%、オーバーアロットメントによる売り出し分を含めても50%を若干上回る保有比率を確保する。また、メディパルは今回の売り出しで207億円を調達する見込み。「資金使途は現段階では公表していないが、タイミングによってはM&A(企業合併・買収)資金に使う可能性もあろう」(同)とし、メディパルの次の一手にも関心。(日本証券新聞

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